ビットコインの特大リスク
- yukiaonuma
- 2月2日
- 読了時間: 7分
更新日:2月7日
※本記事は株式市場スタジオブルポの資産のあり方を考察する上での基準を示したもので、特定の金融商品への投資を勧める意図はありません。
数年に一度、株式市場は特大の下落に見舞われるが、その発端は戦争や関税合戦などではなく、マイクロストラテジーの崩壊を発端とするものだと考察する。
ビットコインとは
ビットコインは仮想通貨と呼ばれ2009年1月、サトシナカモトにより考案さた非中央集権的なコインとされる。日本円であれば基本、日本政府や日銀の意思決定により管理されるものであるし、その移動に関しては個人間で行われたりクレジット会社や銀行が仲介する場合もある。楽天ポイントであれば楽天がその付与や利用を承認し、管理している。
しかしビットコインはブロックチェーンという仕組みを持ち、世界に散らばるマイナーと呼ばれる人達がビットコインの繰り出す暗号を解くことにより(マイニング)、ビットコインによる取引を承認している。マイナーは取引の承認により報酬としてビットコインを獲得する。マイニングを行う主体が特定の企業に限られる場合は中央集権的なコインでしかないが、マイニング界隈にはマイニングプールというものがたくさんあり、個人でもそこに参加し所属しているマイニングプールがビットコイン報酬を得られた場合、参加者は自身の計算量に応じてビットコインを分けてもらう仕組みがある。そういったこともあり、今もなおビットコインの受け渡しは企業や個人が管理する現状にあり、非中央集権的なコインとして成り立っている。
価格の上昇
ビットコインのもつ非政府的なスタンスと、それを実現する画期的なシステムから人気を博し、初めて価格がついた0.07円から、2025年2月1日現在は1600万円前後をつけている。ビットコインの登場以降も様々な仮想通貨が生まれ、ビットコイン自体の仕組みの脆弱性を克服した様なものや、追加のシステムを構築できるものなどが開発されたが、通貨である以上は流動性が重要であり、最も時価総額が高いものは1番人気のビットコインとなっている。
ビットコインのセキュリティ
ビットコインは価値の希薄化対策として1点、総供給量が2100万ビットコインと決められている。2点、マイナーが取引承認によって得られるビットコインはおおよそ4年ごとに半分になってゆき、発行されたビットコインが2100万枚になった時点でマイナーの得られるビットコインはビットコインの取引承認ではなく、ビットコインを送金した人の送金手数料から頂くことになる。
ビットコインの暗号の難易度はマイニングをする人達の量に応じて調整され、あまりにも素早く取引が承認されビットコインが過剰供給されるのを防ぐ仕組みになっている。
このことからビットコインの時価総額的にマイニング業者が大量に発生するとビットコインの難易度があがり、世界全体での計算量は増大し、取引承認にかかる電気コストが増大している。
ビットコインには51%攻撃というハッキングが可能で、世界全体のビットコインの計算量の51%以上の計算量でもって暗号を解くと取引の承認を自分の好きな様に行える形になっている。
つまり、時価総額が高いほどビットコインの世界全体での計算量は増え、ハッキングに必要な電気コストもとんでもないことになり、事実上ハッキングは不可能になるという仕組みになっている。
半減期リスク
4年ごとに起こる半減期はマイニング業者によるビットコインの売り圧を減少するものでしかないため、従来半減期ごとにビットコインの価格は増大してきた。
しかし、その半減期がいつまでも価格上昇要因とは限らない。
マイナーは利益が出るからビットコインのマイニングをするわけで、マイニングによって得られたビットコインを売却した時に電気コストを支払って余りある法定通貨が得られるため、マイニングをしている。
現状、ビットコイン価格が落ちるとマイニング業者が減り、暗号解読に必要な計算量も減るためマイニング業者のインセンティブは維持されている。
しかし、半減期によりマイニング報酬が減ることはマイナーの
収益悪化を意味する。今まではビットコインの時価総額の低さからビットコインの価格は指数関数的な上昇を遂げ、マイナーはその収益を伸ばしてきた。しかし現状3.125BTCの報酬は
2028年1.5625BTC
2032年0.78125BTC
2036年0.39065BTC
2040年0.1953125BTC
2044年0.09765625BTC
2048年0.048828125BTC
2052年0.0244140625BTC
と現状してゆく。2024年7月時点でのビットコインマイナーの損益分岐点はビットコイン価格が53000ドル(795万円)であった。つまるところ、ビットコインがいまのセキュリティを維持した状態でマイナーが利益を得るためにはビットコイン価格が
2028年1590万円
2032年3180万円
2036年6360万円
2040年1億2720万円
2044年2億5440万円
2048年5億880万円
2052年10億1760万円
と上昇していく必要がある。これがまず現実的に考えられない。また、ビットコインの送金はビットコイン支払いとなっている。これはネットワークの混み具合にもよるが、0.001BTC程度となる。つまり送金手数料は順当にゆくと
2028年15900円
2032年31800円
2036年63600円
2040年127200円
2044年254400円
2048年508800円
2052年1017600円
と上昇してゆく。送金手数料は総金額によらないため、10万円分送金しようとしても102万円取られる事になる。また、ビットコインは単位時間あたりに取引を承認できる件数が極めて少ないので、世界的に取引が活発になると送金手数料を引き上げない限り中々ビットコインを送れない事態に陥る。筆者が2018年頃にビットコインを送金した時は、2日ほどかかった。これらの問題からレイヤー2で取引すればいい。という事で様々な手法が考えられているが、まず1回目の取引は実際にビットコインを送金する必要があるなどして、未だまともなものは考案されていない状況にある。
マイクロストラテジーリスク
ビットコインが広く知られた2018年頃にビットコイン界隈でブイブイ言わせた人物に、マイクロストラテジー社長のマイケルセイラーがいる。彼はドットコムバブルで一大財産を築くも売上を過大計上していたことが明らかになり、粉飾決算が認められSECに和解金15億円を支払い、長くなりを潜めていたが、ビットコインバブルで久しぶりに頭角を現した人物だ。
彼はその他のビットコインフリーク同様ビットコインの買い煽りを繰り返すと同時にビットコインを大量購入し、ビットコインのパパの様な存在となっている。そして最近ナスダックに組み入れられると共にアナリストからは株価上昇が囁かれている。
しかし筆者からするとこの企業のあり方を安心しては見ていられない。マイクロストラテジーは株や転換社債を大量に発行しビットコインを購入し、自社株をビットコインETFにするような立ち回りをしている。2025年2月現在のマイクロストラテジーの保有ビットコインは47万107ビットコインに上り、平均取得単価は64551ドル。つまり995万円となる。(ビットコイン価格は現在96815ドル。つまり1471万1717円)
株は凄まじい勢いで希薄化されていることもあるが、それよりもこの企業の現金がほぼ無いことが最大の懸念事項と見える。
転換社債は株価が一定水準を超えると株式転換されるが、そうでなければただの社債である。償還期がきたらドルで支払わねばならないが、マイクロストラテジーにはそのドルがないので、担保として保有しているビットコインを売り払うことになる。株価の上昇のみがこの企業を支えていると言ってもよい。そしてこの企業はビットコインを保有しているだけで配当も無く、満期にビットコイン受けをできる株でもないので株価とビットコイン価格はほとんど関係がない。ビットコイン上昇と共に何となく買われて株価が上昇するので買われる。という企業でしかない。
つまるところ、リアルビットコインETFが一般化した時には最も謎な株となり売却される可能性がある。その時に巻き起こるのは株価の暴落→転換社債の償還→担保であるビットコインの売却→ビットコイン価格の下落→より多くのビットコインの売却→ビットコイン価格の下落→株価の暴落。という形で、企業単体で売りが売りを呼ぶ回転がスタートする仕組みになっている。そうなると、金融機関はビットコインETFを手放し、マイニング企業は留保していたビットコインの価格が暴落、積み上げたマイニング機器は収益に見合わなくなり売却、ところによっては倒産。半導体企業にも一定の打撃。といったところが市場全体に打撃と冷や水を指す事になるだろう。
結論
ビットコイン自体がスケーラビリティ問題と半減期の問題という二大爆弾を抱えているが、それに加えてマイクロストラテジーの戦略自体が爆弾付きジェンガの様な仕組みになっていることを分析した。リスクオフの円買いや高PER米企業の好決算後の迫力不足による株価暴落も始まっており、今月末に控えるエヌビディアの決算を期にリスクオフが加速しビットコイン価格及びマイクロストラテジーの株価下落、転換社債モデルの崩壊の可能性は高い。今年か来年には市場崩壊が起きてもおかしくないと感じる。ビットコインや株式市場といったリスク資産の下落リスクは相当高まっているだろう。
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